春日部
野球肘について
こんにちは。
まちの整骨院春日部東口です。
今週も引き続き、肘周りの症状についてのご紹介です。
今回は学生に多い、野球肘についてです。
【病態】
野球肘とは、投球過多やオーバーユースによって肘に痛みが出るスポーツ障害です。
投球時や投球後に痛みを感じたり、肘の伸びや曲がりが悪くなったりするほか、
肘が急に動かせなくなることもあります(ロッキング症状)。
特に、10~16歳の成長期の投手に多く発生し、慢性化しやすいため痛みや
違和感を感じたら早急に対処することが重要になります。
野球肘の障害は、肘の外側、内側、後側の3つの部位別に大きく分けられ、
年齢によって損傷される部位が異なるという特徴があります。
【発症の時期による分類】
- 発育型野球肘: 成長途上の骨端(骨の両端にある軟骨や成長線を含む部位)を中心とする骨軟骨の障害(10~16歳)
- 成人型野球肘: 成長完了後の関節軟骨や筋腱付着部の障害(18~成人)
【野球肘の分類】
①内側型:内側上顆(肘の内側部)に付着する靭帯や筋肉の牽引力によって骨折や靭帯損傷が起こります。
内側側副靭帯損傷、回内・屈筋群筋筋膜炎(肘内側に付着する筋腱の炎症)、内側上顆骨端核障害(内側の成長線の障害)など
②外側型:肘外側部にある上腕骨小頭などへの圧迫や剪断力によって炎症や骨折が起こります。
肘外側部の離断性骨軟骨炎(軟骨の損傷)が代表的です。
肘関節を走行する上腕三頭筋の牽引力や骨同士の衝突によって、骨端線離開や骨端線癒合不全を生じます。
学童野球での発症が多くなります。
③後方型:上腕骨後方にある凹んだ部分(肘頭窩)にストレスがかかることで疲労骨折や骨棘形成が起こります。
【発生機序】
①1番の原因はオーバーユース(使いすぎ)によるもので、繰り返す投球動作によって、肘に負担がかかることが原因となります。
投球動作では、繰り返し同じ部分に同じ力がかかり続けるため、過剰に負担がかかりやすくなります。
成長期の小中学生は、大人の骨に比べて「成長軟骨」と呼ばれる柔らかく脆い軟骨が多いので、怪我を起こしやすくなります。
②肘関節周囲だけでなく、肩関節や股関節等の筋力・関節可動域の不足による、肘下がりや腕投げの間違ったフォームで繰り返し投球を行うこと。
投球肘障害は、身体の能力や投げ方、投球数や負荷量など、さまざまな要因が複合して発生している場合が多いです。
〈日本整形外科学会が提唱する投球制限〉
・小学生:1日50球、週200球以下
・中学生:1日70球、週350球以下
・高校生:1日100球、週500球以下
【症状】
投球時の肘の痛み、投球後の痛みを訴えます。また、肘の曲げ伸ばしがうまくいかず、肘が急に伸ばせなくなることがあります。(ロッキング)
日常動作では無症状のことがほとんどですが、重症例では日常動作で肘の不安定感(ぐらつく感じ)、痛みを訴えるケースもあります。
まれに、肘の不安定性により肘の内側を走行する尺骨神経が障害され、手の小指側(尺側)にしびれや感覚障害が生じることもあります。
【診断】
投球時の痛みに加え、肘関節の内側に圧痛(押したときの痛み)があり、外反ストレスにより痛みが誘発される場合は野球肘を疑います。
重度の場合、レントゲン撮影で靭帯付着部から剥離した小さな骨片を認めることもあります。
関節造影検査やMRIにより靭帯付着部に異常が見られることもあります。
【治療】
※初期の段階であれば保存療法でも治癒率は高いと言われていますが、骨折部の大きな捻れやズレ、離断性骨軟骨炎が
進行した場合、手術適応となる可能性もあります。
〈保存療法〉
〇急性期:痛みが強い時期
・局所安静、投球禁止
投球を禁止し患部の安静を図ります。炎症期では「アイシング」と固定のため「テーピング」、「サポーター」などで安静を図ります。
・マッサージ・鍼治療
マッサージや鍼治療で肘周囲の筋肉の緊張を取り除き、柔軟性を高めることで患部の消炎・鎮痛を図ります。
・電療
低周波治療器や超音波治療器を使い筋肉の緊張を取り除いたり、炎症を取ることで患部の消炎・鎮痛を図ります。
〇慢性期:痛みが落ち着いてきた時期
・筋力トレーニング
手関節(手首)を動かす筋肉、前腕を回内する筋肉の強化を行います。
・投球フォームの分析・改善
痛みの原因は、肩、前腕のタイトネス(ストレッチ不足)体幹の筋肉・関節の柔軟性の不足、股関節・下肢の柔軟性の不足などにより
投球フォームが乱れることで発症することがほとんどです。
投球は全身運動のため、骨盤の回旋や肩甲骨の動きを確認し、根本的アプローチとして負担のかからない姿勢に矯正を行います。
特に「猫背」の方は、腕・肘・肩・肩甲骨が正常な状態からかけ離れてしまっているため、一連の投球動作に制限をかけてしまいます。
胸椎や腰椎を矯正し関節の柔軟性を上げることで、体幹の理想的な動きができるようになり肩、肘への負担を軽減することができます。
当院での胸椎と腰椎の矯正の様子になります。
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予防・セルフケア
運動前後のストレッチやアイシングはとても重要です。前腕の筋肉や肩関節、股関節のストレッチを行い、
柔軟性を高めることで肘関節にかかる負担軽減に繋がります。また、投球後は氷を患部に当てて冷やし、炎症を抑えることも必要です。
【予後】
痛みを我慢して投球を続けても改善はみられません。また、症状が進行すると肘の手術が必要な症例もあり、
競技から長期間離れないといけなくなる場合もあります。
今後の選手生命のためにも、肘の痛みや違和感がある場合は練習や部活を休んで整形外科や整骨院を受診するようにしましょう。
痛みでお困りの方はお気軽にご相談下さい(^^)
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